その評価に常に毀誉褒貶のつきまとう遠藤昭氏の初期の著述です。
内容はタイトルのとおり、日本海軍の高角砲と防空艦(特に秋月型駆逐艦に多くのページが割かれています)に対する考証ですが、筆者の所有する各種の図面資料等が多く掲載され、一次史料に基づく考察がなされている点は注目されます。
内容的には、執筆時期が古いこともあり現在の目で見れば修正を要する点もありますが、巻末の秋月型諸艦の武装変遷のまとめ(これはおそらく、モデラーの方などには非常に役に立つものでしょう)なども含め、労作であることは確かであり、このテーマに興味がある人にとっては自分なりのリサーチのスタート地点となるものです。レビューアーとしては、筆者の評判から無視するには惜しい内容ではないかと思います。またこの時期の遠藤氏の著述は、後年の著作ほど平賀批判などの自己主張が強くない、素朴実証的な傾向で書かれてることも付言しておきます。
こうした点と、資料的価値からこのレビューではやや甘めの☆4つとしていますが、内容は前述のように時代の制約下にあるので、完璧を期す場合は、他の書籍や資料によって確認た補完をする必要もあるかと思います。
オンデマンド版の出版によって旧版の中古価格も低下し、また入手しやすくなっているようです。
購入に際して、古書でもかまわないという方は、いろいろ探してみるのもよいかと思います。