この本は、もともと三省堂が1984年に出した高校用の数学教科書で、教科書本体に教師用指導資料等を加えて出版したものである。教師用指導資料には、高校生に確率・統計を教えるに当たっての指導事例が色々と記載されている。この指導資料を通じ、過去の教育者が、確率・統計教育をどのように考えていたかも分かるであろう。折しも、次の学習指導要領では、小中高ともに統計教育の充実がうたわれており、温故知新の意味でこの本に触れる価値はある。
なお、この本の宣伝文句として「基礎からやり直したい人のために」と書いてあるが、確率・統計をこれから勉強したいという人にはあまりお勧めできない。この本の出来は悪くないのだが、確率・統計を勉強したいのなら、より適切な本がある。高校生ならば、学校で現に使っている教科書・問題集を使った方がやりやすいだろう。大学生や社会人ならば、この本ではいささか不足する点がある。この本は、あくまでも高校生向けの教科書として編まれているので、説明の方便として実際には不適当な方法が紹介されているからだ(例えば不偏分散を求めるときは、標本数から1を引いた数で割らなくてはならないのだが、この本では煩雑さを避けるために標本数そのもので割っている)。