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高熱隧道 (新潮文庫)
 
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高熱隧道 (新潮文庫) (文庫)

吉村 昭 (著)
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5つ星のうち 5.0 映像化できない調べた小説, 2007/6/6
 吉村昭氏の小説で感銘を受けたものの1つが「白い航跡」であった。かの小説では、明治時代の実在する医師の物語であったし、評定のあるように記述文学の話も頭にあったことから、小説の登場人物は実在するものと考えており、その通りだった。
 この「高熱隧道」においても、読み進んでいったところすべてが本当のところと思い込んだのだが、それはあとがきで裏切られる。状況や心情など、細かい取材があって作り出される現実の描写とそれによって生まれる小説の様は見事。<調べた小説>として解説がされている。
他のReviewerが述べているように、この小説は黒部第三発電所の物語である。プロジェクトXや「黒部の太陽」で話題になっている黒部ダム第四発電所の物語ではない。大きな違いを述べておきたい。

1.第三発電所建設時期は、日中戦争時、太平洋戦争の直前の昭和11年〜15年である。物資が戦争にあてられる時代。御国への献身と、軍事産業の発展のため国のために発電所が必要とされた。この本では、安全に関する法律の施行よりも、高い賃金を払い仕事を優先させられる様が描かれている。命の保障もなく。
 黒部ダム(第四発電所)建設は戦後の1956年。時代背景が全く異なる。
2.殉職者数が異なる。
 第四発電所の建設工事では180人あまりである。
第三発電所の建設工事では300人を超えているとされている。
3.工事と自然に対する知識が異なる。
 他のReviewerが述べているように、自然の驚異が描かれている。この本に記述された前例として引用されているのが、オーストリアの自然現象。村が掻き消されたらしい。そうしたことが起こる可能性すら疑えなかった第三発電所の建設工事時代。黒部ダム建設時代とは異なっているし、第三発電所の建設工事の知的産物が第四発電所の建設工事に生かされたことは確かだろう。
 また、高熱隧道工事におけるダイナマイトの使用に関しても、工夫から新規の手法が生まれる様が描かれている。第四発電所建設工事の詳細は知らないが、技術的な差があり、それに伴い危険の差もあったことと思う。

プロジェクトXのものよりも印象的なドラマが作れると考えられるが、
なぜそれがされないのか・・・?
理由として:
・戦前で情報が限られている(小説はそうは思わせないが・・・)
・自然現象が凄まじ過ぎるので描写できないこと
・爆死する様や、仕事人の狂気というのが絵にならないこと
があげられる。
戦時中の仕事・自然の驚異というのはこういうものだったのか知らしめられる。
読む価値の高い本。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 すさまじい事実, 2007/5/2
黒四ダムを訪れ、ダム工事の過酷さを始めて知ることになりました。
「黒部の太陽」(映画)を見たくなり、ビデオ屋さんを探しまくったのですが、
結局ネットで、出回っていないことを知りました。

その後、プロジェクトXのビデオと「黒部の太陽」(小説)黒四建設の過酷さを
知ることになったのですが、これを超えるのが、黒三建設を描いたこの「高熱隧道」
でした。

なぜ、こんな凄まじい事実があったことを日本人に余り知らされていないのだろう。。
という疑念でいっぱいになりました。
山・雪・水などの自然の恐ろしさ、山の男たちの逞しさ。

今、ダムや工場の写真集が人気ですが、この本を読む前と後では全然違う目で、
ダムを見つめる事になると思います。
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28 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 すさまじい自然への挑戦, 2001/5/8
昭和15年に完工した黒部渓谷第3ダム 隧道(トンネル)工事のノンフィクション。摂氏150度もの岩盤にひたすら立ち向かう人々。何物かに取りつかれたように貫通を目指し過酷な自然に人知の限りを尽くす技師たち。高熱に死すもの、発破事故で引き千切られる肉体、そして瞬間風速1000mで襲い掛かる驚異の大雪崩。山は人夫たちの生命を無造作にすり潰してゆく。太平洋戦争直前の電力確保の国策として貫かれた隧道は工事終了までに300人もの命を呑み込んだ。死をすら許容した男達のこれは戦場の記録である。
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