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98 人中、96人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
超高温の鉱山と状況がそっくりで驚きました,
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レビュー対象商品: 高熱隧道 (新潮文庫) (文庫)
平成の日本で、この小説と非常に近い職場環境を経験しました。現在は閉山しましたが、国内の鉱山で、岩盤温度は最高180度。 爆薬や雷管の自然発火を防ぐため、火薬メーカーに特注の耐熱爆薬と 耐熱雷管を製造してもらっていました。 岩盤温度が低い現場もありましたが、高温現場では小説と同様に常時 放水が必要で、水が途中で熱くならないように、トンネル先端の 放水口まで断熱材を巻いたパイプで送水していました。 熱気はファンと通気パイプで排気。足元の泥水はポンプで排水。 放水と排水・排気の総力を挙げて作業現場を冷やしても、湿度100%、 気温50度以上の現場が数箇所ありました。この環境では、汗は乾きません。 逆に汗が外気に熱せられて熱湯になります。体を冷やす方法は氷水を 飲むか、放水シャワーに打たれることだけです。最もきつい現場では、 熱の波が顔に当たってくる感覚が有り、防塵マスク越しに吸い込む 空気で喉が焼けそうでした。放水シャワーの中から出て作業できる 時間はどう頑張っても1回で1分未満でした。 現場までの通路は放水しておらず、一定間隔で蛇口があるだけなので、 一般的な耐久力では現場まで辿りつくこともできません。ここでの 作業を割り当てられるのは、作業員の中でもずば抜けた耐久力を持つ 猛者数名でした。1年に1人未満でしたが、事故死もありました。 さすがに約60年の違いがあり、作業者の安全は向上していましたが、 一部の強烈な作業環境は戦場を思わせるものがありました。そのためか 戦友のような仲間意識が生まれており、自分にとっては短い年数 ながらも忘れることができない特別な経験でした。 この職場を離れてからこの小説を読み、高温現場での作業の描写が あまりにも自分の体験とそっくりだったので本当に驚きました。
53 人中、50人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
映像化できない調べた小説,
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レビュー対象商品: 高熱隧道 (新潮文庫) (文庫)
吉村昭氏の小説で感銘を受けたものの1つが「白い航跡」であった。かの小説では、明治時代の実在する医師の物語であったし、評定のあるように記述文学の話も頭にあったことから、小説の登場人物は実在するものと考えており、その通りだった。この「高熱隧道」においても、読み進んでいったところすべてが本当のところと思い込んだのだが、それはあとがきで裏切られる。状況や心情など、細かい取材があって作り出される現実の描写とそれによって生まれる小説の様は見事。<調べた小説>として解説がされている。 他のReviewerが述べているように、この小説は黒部第三発電所の物語である。プロジェクトXや「黒部の太陽」で話題になっている黒部ダム第四発電所の物語ではない。大きな違いを述べておきたい。 1.第三発電所建設時期は、日中戦争時、太平洋戦争の直前の昭和11年〜15年である。物資が戦争にあてられる時代。御国への献身と、軍事産業の発展のため国のために発電所が必要とされた。この本では、安全に関する法律の施行よりも、高い賃金を払い仕事を優先させられる様が描かれている。命の保障もなく。 黒部ダム(第四発電所)建設は戦後の1956年。時代背景が全く異なる。 2.殉職者数が異なる。 第四発電所の建設工事では180人あまりである。 第三発電所の建設工事では300人を超えているとされている。 3.工事と自然に対する知識が異なる。 他のReviewerが述べているように、自然の驚異が描かれている。この本に記述された前例として引用されているのが、オーストリアの自然現象。村が掻き消されたらしい。そうしたことが起こる可能性すら疑えなかった第三発電所の建設工事時代。黒部ダム建設時代とは異なっているし、第三発電所の建設工事の知的産物が第四発電所の建設工事に生かされたことは確かだろう。 また、高熱隧道工事におけるダイナマイトの使用に関しても、工夫から新規の手法が生まれる様が描かれている。第四発電所建設工事の詳細は知らないが、技術的な差があり、それに伴い危険の差もあったことと思う。 プロジェクトXのものよりも印象的なドラマが作れると考えられるが、 なぜそれがされないのか・・・? 理由として: ・戦前で情報が限られている(小説はそうは思わせないが・・・) ・自然現象が凄まじ過ぎるので描写できないこと ・爆死する様や、仕事人の狂気というのが絵にならないこと があげられる。 戦時中の仕事・自然の驚異というのはこういうものだったのか知らしめられる。 読む価値の高い本。
38 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
すさまじい自然への挑戦,
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レビュー対象商品: 高熱隧道 (新潮文庫) (文庫)
昭和15年に完工した黒部渓谷第3ダム 隧道(トンネル)工事のノンフィクション。摂氏150度もの岩盤にひたすら立ち向かう人々。何物かに取りつかれたように貫通を目指し過酷な自然に人知の限りを尽くす技師たち。高熱に死すもの、発破事故で引き千切られる肉体、そして瞬間風速1000mで襲い掛かる驚異の大雪崩。山は人夫たちの生命を無造作にすり潰してゆく。太平洋戦争直前の電力確保の国策として貫かれた隧道は工事終了までに300人もの命を呑み込んだ。死をすら許容した男達のこれは戦場の記録である。
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