確かに著者たちの言うように,中学校の英語の授業は「コミュニカティブ」な路線が主流となりつつあるものの,高校での英語は,十年一日のごとく訳読が主体であり,しかも,これといった授業の型も特にないのが現状であろう。小学校での英語の授業ばかりが声高に議論される昨今だが,実は,本書が訴えているような高校英語の改善の方が,喫緊の課題ではないかと思える。
著者たちのスタンスはきわめて穏健であり,ドラスティックな改革を早急に導入せよといっているわけではない。現在の訳読主体の授業に,少しずつコミュニカティブな要素を付け加えていこうという趣旨のもと,教育現場の実情に合わせた三つの授業の型を,指導案や具体的な指導法も含めて詳細に解説している。すべてこの通りにしなくても,とにかくできるところからつまみ食い的に実践していくというやり方で,ほとんどすべての教師が,何らかの形で,より生徒を巻き込む授業を展開していくことが可能だろう。
外国語というのは,自分で使わなければ決して身に付くものではない。受験のための暗記中心の英語教育からの脱却の第一歩として評価したい。