ご承知の通り新渡戸稲造博士著『武士道』は1899年に英文で発表されている。訳書は矢内原忠雄氏の作品が最も格調高く原文を正確に伝えているとされている。
さて、本書は「開成高校の授業で読まれていたテキスト」との帯が目を引き、ちょっと手に取って内容を見てみようと思わせてくれる。解説によると、本書翻訳の大森惠子氏はたまたま同高校生徒の親御さんとのことであるが、現在は東京国際大学で講師をされているとある。内容は、『武士道』全17章のエッセンスの抄訳と解説となっている。
構成は以下の通り。
第一篇 新渡戸稲造と『武士道』…高校生の理解を助けるために新渡戸稲造博士略歴、『武士道』を執筆するに至る経緯が説明されている。当然、この部分はオリジナル『武士道』に記載は無い。
第二篇 『武士道』に学ぶ心…大森氏の抄訳と解説部である。
第1章 道徳体系としての武士道
第2章 武士道の淵源
第3章 義
第4章 勇・敢為堅忍の精神
第5章 仁・惻隠の心
第6章 礼
第7章 誠
第8章 名誉
第9章 忠誠
第10章 武士の教育及び訓練
第11章 克己
第12章 自殺及び復仇の制度
第13章 刀・武士の魂
第14章 婦人の教育および地位
第15章 武士道の感化
第16章 武士道はなお生くるか
第17章 武士道の将来
第三篇 『武士道』からのメッセージ…訳者が感銘を受けた諸点をメッセージとして纏められている。
感想は、『武士道』のエッセンスが分かりやすくまとめられている入門書と言えます。グローバル時代、次代を担う高校生に日本人のDNA(アイデンティティ)を記した『武士道』を紹介することは意義のあることです。
なお、本書(抄訳)だけではなく、是非、矢内原忠雄翻訳などの全訳版を読むことをお勧めします。解説されている内容を自分なりに再考することで、より深い理解、新たな発見を得ることができると思います。