「監督術」というタイトルだとテクニック的なことが述べられてるように受け取られるかもしれないが、内容は尋常でない熱意をもって高校サッカーに取り組んだ歴々の紹介とインタビューで、「指導者たちの物語ダイジェスト版」といったところ。
Jリーグの下部組織であるクラブユースチームが台頭している現在、高校サッカー部との比較はよく言われていることであるが、教育に重点を置いたり、0から環境を整えねばならなかったり、保護者との関係が強かったり、公立校ならば異動の問題があったりと、我々サッカーファンがドラマとして咀嚼できる部分がたくさんあるのは高校サッカーの方なのは間違いない。強化法は強化法として興味があるが、こういったより人間味を感じさせるストーリー的な要素もスポーツを楽しむ上で欠かすことができないし、またそのスポーツを陰で支えている人たちの熱意や努力を知っておくことも大切だと思う。
じっさい山本佳司氏の「野洲スタイル」のような「物語」を求めて本書を手に取ったわけだが、一冊に7人(以上)の監督を紹介するダイジェストなので、そのような「物語」的な掘り下げは期待ほどではなかった。むしろ著名となったJリーガーのルーツを辿った印象が強い。
でもこれはこれで興味深い。
本田圭佑や岡崎慎司、小笠原満男など、高校出身で現在の日本代表の中核となった選手は、このような指導者の下で育てられたということ。
そして彼らの存在は、日本の各地で様々な思いを胸に、地道な努力で「サッカー環境」を作ってきた人たちによって支えられているということ。
そういった事実を改めて感じさせてくれた。
また現行の高校サッカーに対する改善案も出されている。JFAなり上の責任者と一体となってより良い方向へ進んでいくことを願う。