温巳と久留里の物語、今巻ではウエイトがやや温巳のその助教としての仕事にと寄っていた感がしました。もちろん久留里の側の話もあります、主に希薄なその人間関係について。どちらも眼前の問題に対しおっかなびっくり成長のスピードは本当に遅々としたもの、それはでも伸びしろがあるということでいいことだとも言えますが……。
温巳がすっかり「残念な人」呼ばわりされていますが、お弁当のことから何から取り敢えずネットで何でもかんでも調べる現代人としての陥り易いその姿勢が、多分そう呼ばせているのかなあと。仮にも助教が、フィールドワークを知るものがそれでいいのかと。そんな調子なので、久留里の「本当のキモチ」にもなかなか、ね。表面的なものしか見ない、見えない、分からないその姿勢が周囲の人間の内面での総ツッコミとやれやれ感をよんでいる温巳、あらゆる意味でもっと頑張って欲しいものです。
久留里の可愛いところ、寂しがりなところ、大人なところ、子供なところが読んでいてひたすら愛おしかったです。出て来る大人達が内面までみんなして本当の意味で「大人」で、読んでいて多分に子供なところのある私なんかは自分が恥ずかしくなったりもして……。そんな周囲に見守られているからでも、きっと二人は苦労しながらも前に進んでいけると安心も出来るのですが。
お弁当に、恋に、人と人との関係に、どれにも一生懸命な温巳と久留里をこれからも見守り続けたいと思います。