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高木貞治 近代日本数学の父 (岩波新書)
 
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高木貞治 近代日本数学の父 (岩波新書) [新書]

高瀬 正仁
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

高木貞治(1875-1960)は、日本が生んだ最初の世界的大数学者。類体論という、近代整数論の代表的理論を建設した。明治の激動期に独自の夢をいだき、ドイツ数学の息吹を吸収して孤独のうちに金字塔を打ち立てた。名著『近世数学史談』のほか、数学の普及に力を注いだことは知られていない。初の評伝。

内容(「BOOK」データベースより)

高木貞治(一八七五‐一九六〇)は、日本が生んだ最初の世界的大数学者。類体論という、近代整数論の代表的理論を建設した。岡潔との数学史的な繋がり、晩年のヒルベルトへの思い、戦前戦後を通じた数学普及への努力など、さりげないエピソードに人柄がにじむ。師の系譜からは、明治初年の和算と近代数学の関係が解きほぐされる。初の評伝。

登録情報

  • 新書: 240ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/12/18)
  • ISBN-10: 400431285X
  • ISBN-13: 978-4004312857
  • 発売日: 2010/12/18
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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高木の人生を追いながら、日本に欧州の数学が導入されていく様子、ドイツが数学の中心だったころのドイツの数学者達、高木が類体論を完成させていく様子が描かれています。
初めての洋行、1900年の春にベルリンからゲッチンゲンに移る。本当はウェーバーのいるシュトラスブルグに行こうとしたらしいが、途中でゲッチンゲンに立ち寄ってヒルベルトに会い、計画が変更された。ゲッチンゲンでは「週に一度、談話会があったが、その談話会というのはドイツはもちろん数学の世界全体の中心地であった。高木は25歳にもなって『数学の現状に後るること正に50年』というようなことを痛感した。」
「それでもそれから三学期、すなわち1年半の間ゲッチンゲンの雰囲気の中に生息しているうちに、なんとなく50年の乗り遅れが解消したような気分になったという。『雰囲気というものは大切なものであります』」
「ヒルベルトの研究の仕方というのは非常に独特で、数論に心が向く時期には数論に専念するが、行くところまで行き着くと数論から離れ、全然別の領域に移っていくというふうであった。」
「類体の概念を『分岐しない類体』の範疇で把握すると『アーベル体は類体である』とは言えないが、類体の概念を拡大して『分岐する類体』を考えることにすると、どのアーベル体も類体として諒解される。これが高木類体論の『基本定理』であり、理論全体の根幹となった発見である。」
「類体の理論を建設して、その土台の上に『クロネッカーの青春の夢』と一般相互法則という二本の柱を打ち立てるのは、数論の世界にヒルベルトの心が描いた夢であった。『クロネッカーの青春の夢』を大きく包み込むかのような、簡明で壮麗な巨大な夢である。高木はこのヒルベルトの夢を継承し、『分岐する類体の理論』という、ヒルベルトの大きな夢をさらに大きく包み込んでしまう理論を構築した。高木もまた数学に夢を描く数学者であった。『クロネッカーの青春の夢』もヒルベルトの夢も、高木の夢に包まれてことごとく実現したのである。」
最後の洋行で32年ぶりにヒルベルトを訪問した高木。「毎日、(効き目があるというので)生の肝臓を食べて不治の難病と戦いつつ、時には若手の助手連中に揚げ足を取られたりしながらも、どうしても排中律の証明などを書かずにはいられないヒルベルト」
「余生などというのは論外で、『生きながらの餓鬼道ではありませんか』と高木は嘆息し、『恐ろしいのは、これも不治なる知識追求症です』と心情の声をもらした。」
『解析概論』が書き下ろしの単行本ではなく、『岩波講座数学』に分載されたのが初出だったこと、高木は学生の集中力は30分が限度という持論を持っていて、きっかり11時半に教室に現れて、12時にぴたっとやめたことなども書かれています。
意外だったのは数学の抽象化というのは比較的最近の出来事だったこと。抽象化の傾向が目立ち始めたのはWW1の直後、20年代のはじめころ。「新思潮は『決河の勢』をもってまず代数学を征服した。ついで位相学を再建し、線形作用素の理論を統一し、確率論に数学的なる基礎を与えるという勢いを示し、『数学の全'野を風靡してその面貌を一変せしめるに至った』。」
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推奨 2010/12/28
By zigeunerweisen VINE™ メンバー
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日本初の世界的数学者と評される高木貞治氏の伝記的著作である。「高校生のために」として数論や代数の基本事項に関する解説が(A)から(H)まで付されているが、一般読者にはなかなか手強い内容も含まれている。後半で数学の統一や抽象化の流れ対する高木先生の見解が、掛谷宗一氏との座談などを引用しつつ紹介されているのも興味深い。ただ、高木先生の世界的業績とされる類体論がその後の統一化・抽象化の流れの中で、どのように承継され、発展したのかについて本書に言及がないのがやや残念である。
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 『岡潔』に続く数学者評伝の二作目である。評者には高木の数学的業績を云々する素養はないが、著者の端正な文体と静かな情熱に助けられて、この稀有な人物の一班を知りえたのを有難く思う。歌人でもあるという著者の日本語表現の筋目正しさはみごと。
 新書版の評伝としてよくまとまっているが、コラムは多少蛇足の感あり。具象と抽象の角逐という問題系は数学のみならず20世紀思想全般に通底するだろうが、充分に展開されているとは言いがたい。同じ版元のリードによるヒルベルト伝と併読すれば興が増すだろう。
 
 
 
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