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28 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
夢幻の彼方へ,
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レビュー対象商品: 高丘親王航海記 (文春文庫) (文庫)
病床に臥しながらも執筆された澁澤龍彦の遺作であり、その思想を総括する最高傑作。物語の半分以上が高丘親王の夢であり、アンチポデス、アナクロニズム等が存分に発揮されている、まさに幻想文学の手法の全てがつまっていると言っていい作品。「黒魔術の手帖」やサドの翻訳など、西洋(裏)文化の紹介者としての活動も積極的であった筆者の最終的に選んだテーマが輪廻転生であり、東洋思想であった点は我々日本人としても考えてみる余地があるのではないかと思う。幻想文学というと色目で見る方がいるかもしれないが、この本のテーマは普遍的な実存の意味にまで昇華されており、一生涯を通じての愛読書となる事は間違いないであろう。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ただただ手を合わせたくなる作品,
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レビュー対象商品: 高丘親王航海記 (文春文庫) (文庫)
博学・自由・幻想・愉快・怪奇・転生・生命・快楽西洋哲学から東洋思想へあらゆる思想を網羅しての遺作。しかし、決して説教くさくない。 大学時代には読んだときは、この人面白いなぁとしか思わなかったが、歳をとって読み直してみると、泣いてしまった。 渋澤龍彦は本当に本当に天才だったのだと思う。 人が持つ知的好奇心と性的好奇心を渋澤龍彦が生涯通してもち続け、エロティックでありながら、上品さは決して失わない。 知らないことを知ること、めくるめく愛欲に想いを馳せること、その人間として根幹的な欲望を彼はわたしに与えてくれる。 そして、その欲望を誰よりも追求し、知的・性的快楽に身をゆだねることができたのが渋澤龍彦本人ではなかったのだろうか。 これから歳を重ね、またいつかこの本の手にとるだろう。 1ページ1ページめくり、幻想に浸る。 そして、私はそのときまた涙すると思う。 本当に本当にいろんな人に読んで欲しいと思う。こんなにも素晴らしい作家がいることを知って欲しいと思う。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
天の蒼穹へと融け入るような七つの夢幻譚,
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レビュー対象商品: 高丘親王航海記 (文春文庫) (文庫)
夢と現実のあわいを行き来しているうちに、一体どちらが夢でどちらが現実なのか分からなくなってくる、そうした味わいにするすると引き込まれてゆく連作短篇集。そこには、モーツァルトの20番以降の「ピアノ協奏曲」を彷彿させる調べがあり、自由の境地に遊ぶ清澄な美しさに魅了されました。六十七歳というのに童子のように天真爛漫な御子(みこ)こと高丘親王が、数人の従者とともに天竺へと向かう道中の、不可思議な話を記したファンタジー。「そうれ、天竺まで飛んでゆけ。」の言葉をモチーフにして、夢のエッセンスのような幻想譚が展開されていくのですね。久しぶりに再読したのですが、これはやっぱり素敵な幻想綺譚だなあと酔わされましたね。 さらに、妖しい感じが、ドラコニア王国の主・澁澤龍彦の面目躍如たるもの。江戸時代の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)の、鳳凰を描いた「老松白鳳図」という絵に漂うエキゾチックな妖艶美と気脈通じる味わいに、うっとりとさせられました。 澁澤龍彦の小説では、『唐草物語』『ねむり姫』『うつろ舟』もそれぞれに珠玉の短篇集だけれど、ただ一冊だけとなれば、この遺作を選びます。はるか天の蒼穹へと融け入るが如き、七つの夢幻譚の香り高き調べ。絶品、と言うしかありません。
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