"肩関節のMRI"の佐志先生の留学先でもある、Duke大学の骨軟部放射線部門チーフのDr. Clyde Helmsによる骨軟部画像診断の入門書。
骨軟部画像診断は、解剖は複雑、疾患は多種多様、MRIバリバリで専門化しまくりと、非常に取っつきにくい分野の一つですが、
この本は250ページ弱にそのエッセンスを凝縮してあります。といっても、画像診断の教科書にありがちな、
特定の疾患の所見を箇条書きにしてまとめたという感じではなく(それはそれで便利なのですが)
この本はじっくり読んで、理解して、記憶するための本です。
特徴としては、100%の診断を目指すのではなく、臨床の現場で役に立つ95%の正解を目指して、割り切った記述をしてあること、
語呂合わせを用いて記憶に残りやすくすること、などなど。
ジョークのような部分も多く、Felsonの胸部単純写真の教科書と雰囲気は似ています(穴埋めの問題集形式、という意味ではありません)
注意点としては、作者の考えを中心に書いてあるので、すべてを鵜呑みにするのはやや危険ということ(すべての教科書で言えることですが)
骨軟部全体を扱っているので、骨軟部画像診断といえば救急外来で外傷の単純写真を時々見るぐらいの研修医にはあまり役に立たない
部分が多いかもしれない(外傷の部分は40ページ弱)ということでしょうか。
あと、もともとアメリカの本なので、日本ではあまり見られない疾患に関する記述が多いところも注意。
その辺も含めて、佐志先生が最近出した単純写真の本を補完的に使うと理解が進むと思います(日本での頻度を考慮した教科書になっています)
骨軟部画像診断全体を網羅的に簡潔に記したテキストを探している人には、秀潤社の"骨軟部疾患の画像診断"の方がニーズにあうと思います。