アリーヌ・プイヤンジュが祖父から贈られたダイヤモンド《ケープタウンの星》。
彼女の結婚披露宴の日に、パリの屋敷で披露されることになった。
世界六か国の保険会社はこの宝石のために各社
一名ずつ、警備要員として警官を派遣してきた。
しかし、六名の警官の厳重な警備にも関らず、
なんとダイヤは偽物すり替えられてしまった!
さらにその後も、不可解な消失事件が続発し……。
何とも人を食った大掛かりなすり替えトリックに、呆気にとられてしまう本作。
六名の警官が、揃いも揃って間抜けだった(笑)ことを前提にすれば、理論上は
可能なのでしょうが、実際問題としては、はなはだ現実味のない、バカトリック
と言わざるをえない代物です。
また、作中には、古式ゆかしく《読者への挑戦》もありますが、すり替えトリック
については手がかりがほとんどなく、論理的にそのハウダニットを解明すること
ができないのも、トホホな感じです(ただし、記述者を使い分けることで、巧みに
アンフェアを回避し、手際よく読者にデータを提示していく叙述の工夫は買えます)。
以上のように、現実性という点では、非常にあやしい本作ですが、ファンタジイの
領域まで飛躍させた消失トリックの数々とその組合せが織りなす万華鏡のように
眩惑的な事件の全容は一読忘れがたい印象を残すとは思います(ただしバカミス
耐性は必須w)。