中原圭介氏の著書は,毎回読んでいるが,今回も非常に詳しく調べられた情報を元に,今後の世界経済を現実的に分析している。現在の経済状況そして,将来の経済状況を知る上で,非常に役立つ本である。
私がこの本を読んで学んだのは,以下の点である。
・日米安保があるからこそ,日本の軍事費が少なく済んでいることを忘れてはいけません。
→日本の軍事費はGDPの1%以下。米国の軍事費はGDPの4%強,主要先進国は2.5%程度なので,日本は国力の割には軍事費が著しく少ない。
・ノーベル賞を利用して「環境経済」を目指した欧州
→2007年にノーベル平和賞をIPCC(気候変動に関する政府間パネル)や元米国副大統領のアル・ゴア氏に与えたのは,「温室効果ガスは絶対的な間違いであり,その削減には世界全体で取り組まなくてはいけない」という洗脳を世界中の人達に与え,排出権取引という環境経済を有利な方向へ持って行くという欧州の意図があった。
・先進国と新興国の置かれた立場は真逆であり,その間には成長率と金融政策の不均衡が累積しつつある。
→新興国が,いくらインフレを抑制しようとしても,先進国の金融緩和でジャブジャブになったお金が投資資金として高成長の新興国に流入してくる。
・2010年9月末の時点で,国債はすでに買われすぎています。
→現状,先進国ではすでに国債バブルの初期段階に入っていると言ってもいいかもしれない。
・「GDP」=「1人当たりのGDP」×「人口」
→人口が減少し続ければ,GDPにも下げ圧力が働く。
特に,ノーベル平和賞が欧州にとって有利になるように意図的に仕組まれているという話は,私にとって衝撃だった。もちろん,何か確固たる証拠があるわけではないが,著者の説明を読むと,とても納得できる話である。この本を読めば,欧州も欧米も中国のような新興国も,皆自国に利益が来るようにと,国策を練っている。今は戦争こそないが,代わりに経済では国同士の激しい攻防が行われていることがよくわかる。それに対して,世界が平和だと勘違いして,地球温暖化などという何の根拠もない問題に必死で取り組もうとしていた日本は,いったい何をしていたのだろうかと,本当に呆れる。これからは,自国の利益を考えて,諸外国と対等に対峙できる政策なり戦略を考えてもらいたい。
また,この本を読むと景気回復はまだまだ先の話であることがよくわかる。アメリカ経済は,政府による金融緩和で,一時的に景気回復しているように見えているだけだし,欧州は財政再建にこれから数年間取り組むことになる。さらに,国債バブルという今まで起こったことのない新しいバブルが起こる可能性すらある。そうなれば,景気は今以上に悪化する。まだまだ楽観的な発想はできないというのが,現状のようだ。
また,著者は最後に日本の景気回復のために移民を受け入れることを提唱していた。しかし,私はそれには違和感を感じた。日本人は,今不景気のために子供が産みたくても産めないという状況なのだから,むしろ子供が産みやすい社会環境を作ることを考えるべきではないかと,素人ながらに思った。