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これまで数多く書かれた競馬ノンフィクションの中で、なぜ私がこの本に惹かれたのか、、、?それは題材もさることながら、事実を見つめそれを淡々と書き綴った書き手の力による。
競馬を題材にしている女性ライターの多くは感情移入しすぎだと思う。それだけならいいのだが、時には馬を擬人化したりして概して文章が甘くなりがちである。
この書き手も取材を重ね、その結果充分に気持ちは傾いているはずである。しかし自分の気持ちを認識した上であえて俯瞰し、馬やそれを囲む人々の真実の姿を伝えてくれている。淡々としていながら、けして冷たさを感じないのはその姿勢からだろう。
現在も「週刊Gallop」に連載中であり、毎回楽しみにしている。今回の作品も掲載当時から繰り返し読んでいたが、競走馬1頭1頭にドラマがあると言われるとおり、どの章から読んでも引き込まれてゆく。電車の中で涙を流して慌てたこともある。
最終章の書下ろしでは、書き手が自身の気持ちと向きあって「真実の姿」として見せてくれている。これにより作品としてまとまっただけでなく、新たな真実の物語にいっそう期待を膨らませることとなった。