本の内容は、名作なので、もうただ「良い!」としか言いようがないのですが、問題はこの本の作りです。
索引が無いのは文庫という体裁上、百歩譲って許すとしても、ステファヌス版のABCDで表される段落番号が無いというのはちょっと困ります。辛うじて同版のページ数のほうは、下の方に申し訳無さそうに印刷されているのですが、やはりそれだけでは足りません。
同じ岩波文庫でも藤沢令夫氏が訳した『国家』や『パイドロス』の方には、ちゃんとページ数も段落のアルファベットも付いていますし、佐々木理氏が訳した『ソークラテースの思いで』には索引までついているというのに、久保氏の訳本はその点でちょっと不十分です。確か、久保氏が訳した同じく岩波文庫の『ソクラテスの弁明・クリトン』の方にもページ数とアルファベットが入っていませんでした。細かいことかもしれませんが、やはり読む側としてはそれぐらいしっかりしたものの方が便利ですし、ありがたいのです。
収録されている訳も五十年以上経っているので、そろそろ岩波文庫に新訳を出しても良いのではないかと思います。