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饗宴 ソクラテス最後の事件 (創元推理文庫)
 
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饗宴 ソクラテス最後の事件 (創元推理文庫) [文庫]

柳 広司
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ペロポネソス諸国との戦争をきっかけに、アテナイは衰微の暗雲に覆われつつあった。そんななか、奇妙な事件が連続して発生する。若き貴族が衆人環視下で不可解な死を遂げ、アクロポリスではばらばらに引きちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見されたのだ。すべては謎の“ピュタゴラス教団”の仕業なのか?哲人ソクラテスが、比類なき論理で異形の謎に挑む!野心溢れる本格推理。

内容(「MARC」データベースより)

「世界には、言葉(ロゴス)で解けない謎はない」 仕掛けられたバラバラ死体、衆人環視の死、狂ってゆく女たち、敵を求める男たち、そして…。哲人「ホームズ」が解く不可解な連続殺人の推理劇。朝日新人文学賞受賞第一作。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 432ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2007/1/30)
  • ISBN-10: 4488463037
  • ISBN-13: 978-4488463038
  • 発売日: 2007/1/30
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By じゃが〜 トップ500レビュアー
形式:文庫
 なんというミステリー。
 知り合いに紹介され、山月記を題材にした虎と月 (ミステリーYA!)を読んで興味を持った。この著者の本は2冊目である。「虎と月」は10代向けだったが、こちらは大人向けだ。ギリシャを舞台にソクラテスとクリトンが奇妙な殺人事件を追いかける。

 ロゴスにより世界を探求するソクラテスと、一般の読者と同様の反応と行動をするクリトンの2人は、まさにホームズとワトソン博士のパロディだ。

 ソクラテスの語るアキレスと亀のパラドクスに無限の夢を仕込ませる小憎らしさ。ウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」を思わせる不思議な教団と数の神秘。塩野七生の3都市物語のように実在の物語にフィクションを差し込む手際の良さ。そして、それほど困難を伴わずにギリシャ時代のアテナイに入り込ませ、謎解きに熱中させる手腕が光る。

 そしてこの謎解きの結果として、ソクラテスは我々が伝え聞くソクラテスになり、「汝自身を知れ」とアテナイ中の演説家を論破し自ら毒を仰ぐ。ソクラテスの弁明さえもこの謎解きの後日談になる、不思議な世界へようこそ。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hamachobi トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
すごく、面白かった。今まで読んだ彼の作品の中でも一番面白かった。

ミステリーとしても面白かったが、それ以上に、哲学、思想史の話としてもすごく読ませる本だ。

もちろん、ソクラテスを主人公としたフィクションではあるけど、当時のアテナイが現代の日本やアメリカ(いわゆる民主主義国家)とダブってきて、ラストでソクラテスがアテナイに対して鳴らした警鐘が、そのまま、私たちに突き付けられているような気がした。

デモクラシーって、きっと昔から変わっていないんだろうなぁ。人類の叡智が生み出したものなんだろうけど、維持することってすごく難しい。それは、ギリシア時代も今も変わらない。

作中の

「世界はただそれを認識するだけで事足りるのではない。それは子供でもできることだ。われわれギリシア民族に今必要なのは、むしろそこから抜け出すことなのだ・・・」

というソクラテスのことばは、深い。
このレビューは参考になりましたか?
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By トップ500レビュアー
形式:文庫
人心の荒廃が進んでいたアテナイでは、ホムンクルスの復活を目論んでいる
という、謎の組織〈ピュタゴラス教団〉の噂が、まことしやかに囁かれていた。

在留外国人の老医師エリュクシマコスの押しかけ弟子で、名門貴族の四男坊の
ポロスは、ピュタゴラスに関係した人を知っているとパーティの場で自慢していた。

そんなポロスが、パーティの翌朝、衆人環視の市場を、両手に大量
の林檎を抱えて歩いていた際、何の前触れもなく倒れ、死んでしまう。

さらにその後、アクロポリスではバラバラに引き
ちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見される。

果たして、〈ピュタゴラス教団〉の仕業なのか?

衆人環視下における殺人のハウダニットは、当時のアテナイの慣習
を利用した、非常に巧妙なもの。“六千枚の銅貨の運搬方法”という
仄めかしの伏線も、よく考えられています。

一方、バラバラ殺人のほうは、トリック云々よりも、実際に殺人が行われた際
の光景を想像すると戦慄を禁じえない、何とも凄絶な真相が用意されています。

それにしても、物語の背景となる閉塞感漂うアテナイの世相は、
現代日本と重なり合う点が多く、作者の明確な戦略を感じます。

そんな状況の中で、論理(ロゴス)だけを武器に、終始理性的に混沌に立ち向かった
ソクラテスの姿は、まぎれもなく〈名探偵〉のそれですが、最後に彼を見舞う理不尽な
悲劇もまた、〈名探偵〉が甘受しなければならない不可避の運命といえると思います。
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