日本の中世が庶民にとってどのような時代だったかを描いた良著だと思う。文体から、著者が他の研究者の研究成果を尊重する姿勢や、飢餓や貧困に直面した当時の庶民を同じ目線で見る誠実さが伝わってくる。戦時の性暴力や人身売買、奴隷として海外に売り飛ばされた日本人や、秀吉の朝鮮侵略時に日本に連れてこられた朝鮮人の存在にも触れている。本当は星5つにしたいところだが、なぜ星4つかと言うと、少し娯楽性に欠けると感じたからだ。当時の庶民が何を食べていたか、どんな着物を着ていたのか、風呂には入ったのかなど、暮らしの具体的な描写があったら面白いと思った。しかし、そのような記録は残っていないのかもしれないから、それは無理な要求かもしれない。そうだったら、すみません。