ショッキングなタイトルのため、食糧不足のことをとりわけ悲観的かつセンセーショナルに喧伝する本かと思いきや、さまざまな角度から食糧問題(だけでなく農業問題も)の論点を提起する非常にバランスのとれた良書で、大変勉強になります。
具体的には、穀物需給の逼迫の要因を詳しく分析した第一章をはじめ、食糧だけでなく農業や環境、BSEから遺伝子組み換え食品に至るまで、現代社会が抱えるさまざまな問題点を豊富なデータで明らかにしてくれます。
また、世界、アジア(特に中国)、日本のそれぞれの階層における問題点、今後のあり方もしっかりと示されています。
著者の提言が盛り込まれた第5章を読むと、日本の農業や食糧問題は問題が多いものの、まだまだ(過去のしがらみなどで出来なかったことも含めて)やるべきこと、やれそうなことたくさんありそうな印象を受けます。それだけ、今まで有効な方策をとってこなかったということなのでしょう。
この先10〜20年後には世界的に危機的状況を迎えそうな食糧問題について、国内でもっともっと活発な議論が行われることを(この本がそれを促すことを)期待したいと思います。