「日本は食料自給率が低く、問題なので100%にするべきだ」という著者の想いはわかるが、自給率が低いと何が問題で、なぜ100%にするべきなのかについて論理的に書かれていない(いろいろと憶測は書かれているが)。
また自給率を100%にする手段として、莫大な補助金を麦や大豆の生産に投入して増産するという荒唐無稽な提案がなされている。本書は農水省を激烈に批判しているが、これでは予算や権限が増える農水省の思う壺ではないか。
さらに、08年のバターの品不足を食料危機と結びつけたり(p10)、「国産牛」が自給率の引き上げに貢献した(p55)とか、日本の農業は価格支持政策を行っていない(p104)など、明らかな事実誤認も見られる。
著者の信念はわかるが、この本を読んだとしてもその根拠はわからないし、農業についての誤った認識を持ってしまうのではなかろうか。