本書は「The Atlas of FOOD, Who Eats What, Where and Why」という洋書を和訳したものである.
印象としては,高校地理の教科書である地図帳を,もうすこし食料関係よりに編集,加工,追加したものであろう.
ただ洋書がベースなので,世界的な食料動向が主眼となっているので,ある意味世界の中の日本を再認識できるのではないかと思う.
それぞれ興味のある地図をじっくり眺めてもらいたいところであるが,本書ではとくに“はじめに”を熟読されることをお薦めする.
というのも地球的な視野で見たところの食糧問題というのがよくまとめられているからだ.日本で,とくにマスコミなどで問題視される食料をめぐるあれこれとの温度差を,再認識出来るのでないかと思う.
そして,ぜひともこの本の主張,
“栄養不足が世界の人口の約3分の1と推定されている人々を苦しめているが,これは食料の全体的な不足の結果でも,貧困の結果でもなく,資源の不足と食糧入手の可能性の不足の結果であることを明らかにすること”を実感してもらいたい.
“この惑星では,誰もが十分に食事することが出来る以上の食料が生産されている.しかし,政治,経済,環境,社会的影響力で,不公平な生産,分配,そして消費に終わっている.世界は,食料の正義を必要としている.”
農業問題,環境問題,フェアトレードなどの問題に触れようとしている学生さんなどは,ぜひ目を通してもらいたいものですね.