飛鳥時代は私の興味やわくわく感や日本人的な郷愁をかきたてて止まないのだが、この本はその思いを満足させてくれる。石舞台古墳や飛鳥寺、高松塚古墳やその他明日香村のたくさんの史蹟について、二十章に分けて白黒の豊富な写真と共に素晴らしい文章がつづられていく。どちらかと言えば権力争いで血なまぐさいことの多かった飛鳥時代だが、なぜか惹かれて止まない。
「秋の残照に一切がのめり込みながらさまよっている飛鳥の山河は」「さて、石舞台のあたりにも黄昏が訪れ始めた」などの表現は、その場に実際に佇んでいるような実感を与えてくれる。
この本を購入して数年後、実際に明日香村を訪ねて自転車でまわったのだが、この本が出された1972年とほとんど変わっていない風景に出会うことが出来たように思う。その風景を維持するために、住民の方々は大変な思いをされていることだろうが…。