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飆風 (文春文庫)
 
 

飆風 (文春文庫) [文庫]

車谷 長吉
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

作家になることは悪人になることだ。
生きることで他人を傷つけ、小説を書くことで自らをも痛めつけてゆく。すさまじい作家が、己の精神を追い込み、崩壊していく様を曝した、最後の私小説。
「靴と下駄とスリッパが空中を飛んでいるんだ。ほら、そこに。」 「くうちゃん、何言ってるの。何も飛んでいないじゃない。」 「いや。飛んでいるんだ。階段も廊下も流れているし。」 「変ねェ。何も流れていないじゃない。いつもの通りじゃない。」 「ああ、俺は気が狂った。アロエの毒を呑まされた。」 「誰に。」 「誰だか分からない。俺の頭の中を風が吹いていくんだ。」 「風?」<本文より> --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

無能者になって生家に戻った「私」を迎える母親の呪詛。文学を志しながら果たせず、友人や女を騙し、蔑まれ、どん底まで落ちる「私」。精神を病んだ作家と妻である詩人の暮らし―。自身の半生を虚実の中に描く小説三篇に加え、独自の小説作法を語り、西行、漱石、深澤七郎を論じた講演「私の小説論」を収録。

登録情報

  • 文庫: 221ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/6/10)
  • ISBN-10: 4167654067
  • ISBN-13: 978-4167654061
  • 発売日: 2009/6/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 42,085位 (本のベストセラーを見る)
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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
最終章の「私の小説論」の最後にこう書かれています。

  ・・・私は私であることが不快なのです・・・

車谷さんはこの「不快である私」の身を削るように小説を書いていきます。
小説を書いたあとには屍が転々と転がっているのではないかと思えてしまうほど、「私」を痛め、交わりのあった他者(実名)をあばいていきます。

第三者の読み手からみると、俗ぽいのですが、スキャンダラスなものを感じ得ずにはいられません。読み手は、純文学を読んでいるつもりが(確かにこれは分野的には純文学だと思うのですが)いつのまにか‘事の真相’にため息をつきつつページをめくる手が早まっていきます。

もしこれが車谷さんの手ならば、物凄い凄腕作家であるといえるでしょう。
読み手のげすな好奇心をみたしながら「己の精神を追い込み、崩壊していく様を曝した」最後の私小説。
たいしたものだとおもいます。

   ・・・なぜ私が人間としてこの世に生れて来たのかをいくら考えても、分からない・・・この次ぎ生れて来るときは・・・出来れば人間に厭がられる蛇に生れて来たかった。・・・蝮のような毒蛇に・・・

車谷長吉さんは業の深い、福田和也さんが仰るようにスタイリストで上手い作家だといえます。これは作家として最高の資質だと思います。

このレビューは参考になりましたか?
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
登場人物がすべて実名で、しかもフルネームで登場してくる。
昔、大江健三郎が、江藤淳に、登場人物に「バード」等の風変わりで匿名性の高い名を好んで使用する理由を問われたときに「創作過程で自分自身の中にどんどん入っていくことができるように」と答えていた。

車谷長吉は逆。自分自身と登場人物を対峙させ、ぶつかっていく勢いで物語を作っている風さえ感じる。これは生き難いだろうなと思ったら、やっぱり精神やられてしまった。
徐々におかしくなる自分の精神を見つめている表題作「飆風」は書き殴った感さえ受けるのに、読むのを止められない。小説としての完成度というカテゴリーを越えて読者をひきつけるそのエネルギーに脱帽。

このレビューは参考になりましたか?
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hiraku トップ1000レビュアー
形式:文庫
車谷の作品はどうしようもなく、私の心に響いてくる。一般常識からいったら全く道理に合わない生き方。まるで本能の赴くまま自由に生きている。思ったとおりに生きている。みんな彼のように生きられない。守るものにがんじがらめになっている。でも小説家の彼はいう。全てうしなってからこそ、本当の生き方が始まる、のだと。ある新聞の人生相談(かなりアナーキー)では前出の考えだからこそ、「9割の人間は本当の人生を生きていない」相談者を「小心者」と言い捨てる。
でもね、小心者の僕たちはあなたのような生き方はどうしたってできないのです。できないからこそ、あなたの作品を読んで心をかき乱されるしかないのです。だからこそあなたの作品から逃れられなくなるのです。
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