「真田剣流」の事実上の続編。
掲載誌「少年ブック」の連載も、「真田〜」に引き続いてだった。
前作あたりから、著者の作品にはいわゆる二重スパイが頻繁に登場するようになる。
だから、読んでいて、この人物は最終的にどちらの側につくのか、というのがストーリーのもうひとつの肝になる。
もちろん本作の肝は風魔という忍者集団の存在意義、そのスタンスということになる。
このあたり、シリーズ初作の「忍者旋風」では見られなかった。
それは、著者の内的成熟と関係があるのだろう。
「真田〜」と比べると、ストーリーの大きさに比して尺が物足りない分、充実度が低くみえる。
しかし、これはこれでキリッとまとまった、ストーリーが多岐にわたらない分の完成度の高さがある。
著者の長編作品は、えてしてサイドストーリーがしばしば挿入されるため、メインのストーリーが散漫になるという欠点がある。
「忍者武芸帳」や「サスケ」でそれが顕著だ。
そのあたり、コンパクトな本作では、あまり不満はない。
また、少年漫画誌への連載ということもあって、子供が活躍するところもまた、嬉しいところだ。
本作がコンパクトな理由は、おそらく前作の子供受けするエンタテイメント性が本作では薄れてしまったせいだろう。
作品のスケールとテーマは大きいのだが、少々難しくて、当時の少年読者の共感が得られにくく、早期に連載が終了したに違いない。
もっと長かったら、また違った味わいになっていたであろう惜しい作品である。
おそらくは、著者の忍者マンガの完成作のひとつとなっていただろう。
だからこそ、大人になってから読み返す意味があるし、十分大人の鑑賞に堪えるものがある。
そして、本作を通して描かれる支配欲という人間のサガ。
これこそ、同時期の作品「ワタリ」第一部で描かれることになる"死のおきて"につながるものだ。
本作と「ワタリ」第一部は、共通のテーマを内包した兄弟のような存在なのではないだろうか。
このあたり、論じてみたい気もする。
著者の忍者マンガの、ある意味では最も充実していた時期の作品のひとつである。