田沼意知が江戸城内で切りつけられる事件に始まり、
前野良沢と並ぶオランダ語の巨頭中川淳庵は病の床に臥す。
さらには意知の父、田沼意次に迫る汚い陰謀など、
ギャグの冴える明るい話題は少ない。
田沼意次の刃傷事件は、
田沼親子を金権悪徳政治家としか見られない無知な庶民からは喝采を浴びるが、
実際はその庶民を苦しめる時代のきっかけになってしまうとは。
しかしこの巻のハイライトは別にある。
上記の暗い話題よりも、もっとずっと読者を悲しくさせる話が展開されるのだ。
一旦時代を戻して、蝦夷地(北海道)の歴史が語られるのだが、
「教科書が教えない歴史の真実」は、ギャング漫画の粋を通り越して凄まじい限りだ。
「北海道の歴史」とは、我々の祖先の日本人による、
先住民族アイヌへの虐殺と略奪と搾取と卑怯な騙まし討ちの歴史に他ならない。
現在残ったアイヌの子孫は少なく、さらに日本人に同化してしまっているので、
中国や韓国のように過去にクレームを言う人はほとんどいない。
だが、「クレームを言う人がいない」からと言って
歴史から消し去ることはできないはずだ。
この「北海道の歴史の真実」を伝えただけでも、この本の価値は貴重だ。
完全にギャグ漫画の範囲を超えている。