ある新聞社の記者は、地方で大型台風に遭遇。過酷な現実を垣間見た彼は、東京オリンピックを前に乱立するネオン塔に憤りを覚えていた。そんな折に製薬会社のネオン塔が完成直後に爆破される事件が起き、記者は冷酷な陰謀が渦巻く非情な事件に巻き込まれていく・・・。
宇津井 健氏{『スーパージャイアンツ』シリーズと『新幹線大爆破』と共に数少ない特撮もの!}・田宮二郎氏・叶 順子氏・高松英郎氏ら『黒』シリーズ{特に増村保造監督・『黒』3部作}の常連を集めた、『黒』シリーズ調の特撮スリラーである。
スタッフには、『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』の田中重雄監督と木下忠司氏が参加。特殊技術には、『大怪獣ガメラ』の築地米三郎氏が担当している。
特撮は、当時の水準でも一級の出来。銀座等のミニチュアワークもさることながら、ネオンのシーンにはアニメを使用。水没シーンを含めた凝った映像が、全編に広がる。
本編は、シリアスにしてシニカルな展開が印象的だった。ほとんど『黒』シリーズ調の演技をする4人も、個性的でリアルさもあった。こうしたスタイルが、「救いのない」ラストシーンになる。これが先に出た日活の『風速40米』とは、違う世界観である。
叶氏にとってはこれが引退作になったが、ある意味においては彼女にとっては「原点に帰った有終の美」なのかもしれない。
そして田宮氏&宇津井氏は、『黒』シリーズにて異色の共演にして特撮も大胆に使われた作品に主演する。それが、築地氏と湯浅憲明監督も参加した『黒の切り札』(=井上梅次監督)である。
『風速40米』の亜流作だが、『黒』シリーズと『ガメラ』シリーズを合体させた異色作として観て損はない。