「五体不満足」の乙武洋匡氏は、「自分が弱者だと思ったことはない」と言っていたが、もし彼が、車椅子すら与えられず、家族から虐待を受け、学校では教師と生徒総動員のいじめを受けていたら、果たしてあんな立派な人になったであろうかと私はずっと考えていたが、そんな悲惨を過ごした女の子であったのがこの著者の風歩さんだ。彼女は手足はあっても、筋ジストロフィのため、幼くして運動能力を失っていった。
確かに、この本の中には、彼女の超人的な悟りのようなものも感じるのであるが、むしろ彼女は人としての当たり前を大切にしているように思う。本人は容姿に自信がないと書いているが、私はメチャメチャ可愛いと思うし、彼女自身も可愛いものが大好きな普通の若い女性である。決して、「彼女に比べれば自分は幸福」という視点ではなく、彼女の深い洞察から、人間として大切なものを取り戻したいと切実に思った。
表紙の写真と題字は、妙な心配は感じるが(笑)、さすが天才アラーキーこと荒木経惟氏によるものと思う。