内容紹介
世評では、上杉謙信と比べると人気の面で武田信玄の分は悪い。海音寺潮五郎は武田信玄を嫌ったという。信玄嫌いの多くは、彼がとった父・信虎の追放、息子・義信殺し、諏訪頼重の殺害とその娘との婚姻などから、腹黒い人物との印象を持つからだろう。しかし、これは誤った信玄像である。
実は信玄の思想と行動原理は、「孫子」の兵法と「孟子」の民本主義に貫かれている。決して権謀術数を弄する冷酷な人物などではない。信玄堤や甲州法度之次第に代表される治国や強兵策はのちに家康が手本としたほどである。
本書は、あと数年命があったら信長に代わって間違いなく天下をとっていただろうといわれる武田信玄の人間像とその帝王学を、さまざまな角度から解説し戦国随一の名将でであることを実証するものである。
なお、本書は1988年に刊行された『人間学読本風林火山の帝王学』に、隆慶一郎、竹内勇太郎、大森寿美男の原稿を新たに加え、再編集した。