西洋絵画において風景画がいかに扱われ発展してきたかを、非常に多くの画家の作品を紹介しながら解説している。
例えば初期ルネサンス時代のフィレンツェとシエナの風景表現に関するスタンスの違い、早期〜盛期ルネサンスのベッリーニの重視、フランドル絵画の自然な中景の描き方、17世紀ネーデルラントの風景画の発展要因など豊富な内容です。
ただし美術史家に多く、この著者の他の本にも共通することなので翻訳が悪いのではないことが明らかであるが、とにかく文章が読みにくい。自分の書きたいことを書いてはいるが、その内容を読み手に伝えたいと感じられない文章です。筆者は自分の中で自己完結し満足したのではないかと思います。また、文中での作品紹介も都市名と作品名しか書いていないことが多く、どの美術館にあるのかが分かりません。
風景画について知りたい人には越 宏一さんの「風景画の出現―ヨーロッパ美術史講義」(13桁ISBN:978-4000280518 。10桁ISBN:4000280511)が読みやすいのでお薦めします。本書は大学での講義を元にまとめたとのことだが、当時の学生に同情する一冊でした。
本来、星1つとしたいところですが、図版、索引がしっかりしているので星2つとしました。