最近、再評価の機運が高まっている樋口有介のデビュー2作目。
最近次々文庫で再発された柚木草平シリーズのファンならば、彼のおなじみの世界がこの作品にも瑞々しくあらわれているのに気づくと思います。
この作品の主人公は<永遠の38歳>こと柚木草平ではなく、21歳の大学生ですが、まるで草平を若返らせて少しシャイにしたみたい。お洒落でさわやかな会話が印象に残ります。
それほど深みがあるわけではないですが、吹き抜ける風のように、静かだけど強い印象を残す作品になっています。
かつての同級生が死に、その謎を主人公が解くために自分たちの過去に向き合う。
甘酸っぱさと切なさと、そしてほろ苦さ。
このモチーフは樋口氏が手を変え品を替え、書き続けているテーマですね。
これはその原点であると同時に、素晴らしい完成度を誇る傑作だと思います。
特に、筆者の文章のうまさ(決して美文家というわけではないですが)には目を見張りました。舞台である前橋に行ってみたくなります。