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55 人中、52人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
古今を通じて流れる日本人の「美」意識,
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レビュー対象商品: 風姿花伝 (岩波文庫) (文庫)
室町時代、三代足利義満将軍のもとで、従来より親しまれた申楽を「能」として大成した世阿弥が、その父親である観阿弥から伝えられた精神を、秘して子孫へ伝えようと著したものがこの「風姿花伝」である。口述による指南の限界を意識しながらも一貫して説かれる極意は、古来より流れる伝統としての「風」をいかにして体得し、時宜に相応しい「花」として咲かせるか、という比喩に徹頭徹尾凝縮されている。事物の本質を的確に捉え、自身の心の内に一心同体とすることが「芸」としての物真似の妙であり、把握に失敗すれば「弱さ」を持った「幽玄」や、「荒さ」を持った「力強さ」が顕在化し、本質を見失う。名誉や技巧の追求に走らず無心に稽古に打ち込む姿勢や、表現しようとする心を捨て去った後に浮かぶ純粋に自然な表現に裏付けられてこそ、貴賎老若男女に慕われる芸となり、万人に感動と幸福をもたらし、人生を豊かにすると説く。 古来より伝わる「禅」の思想と、自然との一致を目指す日本人の美的感覚を、その底流に感じさせる世阿弥の芸論は、「能」の世界にとどまらず人生の指針としても有用なものであろう。文章は古文体であるが、重要な概念を示唆する節には適宜補注が加えられており、全体として真意を失わずに読むことができる。変化し続ける個々人の考え方を包括的に俯瞰してこそ、部分の意義を認識できるとする世阿弥の意見に従えば、「花鏡」や「劫来花」など他の著作も是非とも読んでみたいものである。
25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
芸術の「古典」であるが現代にも通じる,
By ドラゴン8 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 風姿花伝 (岩波文庫) (文庫)
観阿弥・世阿弥が言うところの芸能における「花」ということに興味があり本書を読んでみたのですが、単に芸能(芸術)における古典ではなく、現代の社会にも通じる記述が随所にあり思わず引き込まれてしまいました。
「花」を極めるためには結局は、なによりも稽古(努力)が第一であり、慢心せず常に謙虚に稽古に精進することだと理解しました。これは単にビジネスだけでなく生き方にも通じることではないでしょうか。 なお原文は当然のことながら古文ですが、 ・非常に平易な文で記述されていること ・分量が多くないこと ・章立てが細かいこと により読み易い本です。 ぜひ一読されることをお勧めします。
28 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すべてに通じること,
By 亀吉 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 風姿花伝 (岩波文庫) (文庫)
高校時代に本書に目を通したときは、この本の凄さが良くわからなかった。しかし、数年前、改めてじっくり読み直し、ひとつのことを極めた世阿弥という人の凄さを実感した。この本に書かれていることは、簡単に言ってしまえば世阿弥の能に対する考え方、能を演じる者としての心構え、芸術論である。が、一職業人として、また芸術家として、それまで娯楽でしかなかった「能」を芸術にまで高め得た才知と哲学の体系は、能あるいは芸術一般のみならず、現代の私たちの生き方の指針ともなると思う。
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