登録情報
|
作者は好きな相手に対して、よく「食べてしまいたい」というキーワードを使う気がします。
彼女の描く感情は、シャンパンやラムなどの酒や、キッチンで作る料理、ココナツやローストビーフ、
様々な料理や食べ物と合わさって描かれることが多いような気がします。
同様に作中の食べ物に関して強い美意識を感じるのは、長野まゆみですが、
彼女は作者とは少し質が違うかもしれません(笑)
「齧る」「啜る」「味見する」、恋愛を「トリートすることだ」という彼女の作品に、私はそれらの質感を感じます。
そして私はそういう気持ちがとても好きです。
気持ちいいと思う。
今回は「間食」「夕餉」「風味絶佳」「海の庭」「アトリエ」「春眠」の短編が六作収録されています。
正直山田詠美の短編の中には、「ちょっと手抜きじゃないですか?」というものもあるのだけれども、今作はどれもおいしかった。
あっさりし過ぎなのかもしれないけれど、私は表題作でもある「風味絶佳」がよかった。
帯の「ベッドタイムアイズから20年」というフレーズにも私は納得します。
PAY DAY!!!を読んでいなくて申し訳ないのですが、近作の表題「姫君」があまり好きではなかったので、
「瞳の致死量」のダンケとメルシーよりは、「4U」のマルが好き、ココやスス、ジェシーやナルオが好き、
という人の方が気持ちよく読めるかもしれません。
読後感は梨木香歩の「家守綺鐔」に似ているでしょうか。
江國香織の「すいかの匂い」「つめたいよるに」がお好きな方にもお勧めします。
彼女に特有の、爪をひっぺがすほどの愛憎はでてきませんが、
何となく、ちょっとだけ泣きそうになるような、いい作品です。
私はこれが、とても好きです。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|