本書は、日本の風呂の歴史を書き替えるような示唆に富んだ、なかなか興味深い本であった。
著者の主張は、日本の風呂の起原は蒸し風呂だという点にある。お湯に入るタイプはむしろ傍流で、ごく新しいものだというのである。
そのことを、各地に残る風呂の遺構を訪ね、また「風呂」にまつわる地名を洗い出していくことで立証していこうとするのである。膨大な実例が示され、なかなか説得的だ。
著者はサンカを追っている人らしい。そのなかで彼らの独特の風呂の使い方に行き当たり、各地を歩きまわって調査するうちに出来たのが本書ということのようだ。また、専門の歴史家というわけでもない。
そのため、歴史研究としては難があり、疑問の残る箇所も少なくない。非常に読みにくい本でもある。
しかし、風呂の歴史を考える上で、大きな転換点となる本であることは間違いない。このさき、著者の研究がどのような方向に向かっていくのか、目が離せない。