性風俗の現場で働く女性を対象に、その実態(動機・給与・サービス内容・仕事上の問題など)を調査した点から、本書は他に類を見ない新しい取り組みであると言えると思います。
ですがその結果は「推して知るべし」とまではいかないまでも、ある程度想像の範囲内でした。なのでその点では特に驚きはありませんでしたが、巻末に記されている各人の性風俗についての様々な見地からの考察は面白いと思いました。
特に社会学者である宮台真司氏のコメントには興味をそそられるものがあります。性風俗産業の利益の一部がヤクザや警察官僚に流れており、結果的に風営法・売春防止法が彼らの利権を保つ構図になっているのには驚きました。まことしやかに囁かれていることと、本書のようなある程度説得性を有する書物に学識者によって記されているのとでは、納得させられる度合いが異なりますから。
また社会秩序の保護や個人の道徳感などから行われている「性の商品化・撲滅運動」が結果的に風営法・売春防止法を擁護することで上記利権を保護する形になっている点や、その運動が性風俗産業で働く女性を抑圧している点にもハッとさせられました。
もう少しこの点を掘り下げた書物があれば読んでみたいです。