古代アトランティス大陸を舞台とする本格派ファンタジー巨編。昨今の日本のファンタジーというと、設定があやふやなものが多かったりしますが、この『風の大陸』は何でもあり(?)のファンタジーにしては、政治の世界や、国家間のシステムの違い、社会階級の構造などがきちんと描かれていて、スゴイと思います。古い歴史を持つ太陽帝国の政治のシステムは、それまで舞台だった新興勢力のアドリエにはない複雑さがあって、そうした違いが描ける辺り、さすがです。個人的には本編より300年前を描いた『巡検使カルナー 風の大陸・銀の時代』の方が好きだったりしますが。こちらは、この巻で登場するカリスウェンの先祖にして、初代太陽帝国の皇帝となったマルト・バレム・カルナーの若かりし日の物語です。合わせて読めば、『風の大陸』の世界が広がることは間違いありません。どちらも良いですよ。