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風の変様体―建築クロニクル
 
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風の変様体―建築クロニクル [単行本]

伊東 豊雄
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商品の説明

ブックレビュー社

文章は文章として建築作品から自立し,独自のコミュニケーション・メディアとして異なる空間を形成する
著者・伊東豊雄氏の言葉を借りれば,「テクノロジー信奉と,その支配への諦めから生じた気だるい感情が交錯する都市に産み落とされた私生児建築こそ,"URBOT(ウルボット)"である」という。そのウルボットが地上に送り出されてから,もう約30年近くの時を迎えようとしている。私も雑誌の仕事を通じて,数回,伊東氏には会っているが,ウルボットについての会話は一度もしたことがない。

本書で語られている「設計行為とは歪められていく自己の思考過程を追跡する作業にほかならない」,また「設計行為とは意識的な操作に基づく形態の偽装工作である」との鋭い言葉が建築に身をおく者の心を強く打つ。伊東氏が口にする,軽やかで風の移ろう状態があるだけの形態をもたない建築,つまり,風の建築と呼ばれるものだ。体を抑えつける建築的な形式の強さや重苦しさを排し,どんな建築空間を追求していくのか,いつの日か,伊東氏自身がわれわれの前に,その答えを出してくれるに違いない。 (フリーライター 手嶋 純)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)

風の変様体としての建築とは、軽やかで風のように移ろう状態があるだけの形態をもたない建築―。身体を抑えつける建築的形式の強さ・重苦しさを排し、爽やかさ・安らぎ・心地よさを、そして何よりも人間らしさのある空間を追究し、国際的評価高まる建築家の18年にわたる試行と実践の全貌。

登録情報

  • 単行本: 481ページ
  • 出版社: 青土社; 新装版 (1999/12)
  • ISBN-10: 4791757823
  • ISBN-13: 978-4791757824
  • 発売日: 1999/12
  • 商品の寸法: 21.2 x 15 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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By ボヘミャー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
建築家は思索家であり、文筆家であることが多く、世界の建築界のトップランナーたちの多くは「書くこと」
「文章をメディアに発表すること」に対して非常に意識的で積極的だ
(丹下健三のように、89歳になるまでまとまった作品集を作らなかった人もいる)。
だから建築関連には多くの優れた書物が存在する(磯崎新のように思索と文章があまりに先鋭的に卓越して、
実作を凌駕してしまう場合すらあるが)。

それらの中で、この伊東豊雄氏の建築論文集はもっとも素晴らしいものの一冊だ。
丁寧で誠実な思索の跡が、明快で分りやすい文章でたどられていく。
時間軸を追って展開される文章を読み進めていくと、1人の建築家がどのように建築と格闘し、
実制作の中で思索を表現し、社会と対峙し、自己と向き合い、前に進んでいくかが感じられる。
それは一種、感動的ですらある(伊東氏の現在の世界的な名声や活躍を知ってみるとなおさらだ)。

本は、タイトル、目次と進み、最初の文章はこんな風に綴られている。
「南青山の小さなビルの四階に1級建築士事務所を設けたのは三月の半ばである。設計事務所を設けたと言っても、
菊竹事務所を辞めてから二年間の浪人時代と暮らしが何か変わったわけではなかった。
二、三ヶ月先までしか仕事のメドが立たない状態はその後十年以上も続いたのだから、
今想えばどうやってニ、三人のスタッフとやってこられたのか不思議な位である」。

この文章の中にすでに伊東氏の文章に対する姿勢や、その魅力が十分に表れている。
いってみれば、「建築思索私小説」的な趣がある。私小説的というのは、彼の文章の中にそうした記述が
散見されることもあるが、彼が建築設計作業に入る時に、自分の底の底までダイブすることを恐れず、
最深部で確かな手応えをつかむことから建築を出発させ、その作業を常に手放さないことから来る。
そこがまた彼の文章を読み、彼の建築実作を体験する時の大きな楽しみになっている。
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