戦うためだけに生まれてきた女戦士マリア。
彼女が経験する出会いと別れ、仄かな恋の予感、うるわしき姉妹愛が、勇猛果敢な戦闘シーンのなかに織り込まれていく。
やがて帝国に大いなる転換の時が訪れ、マリア自身も戦い続けることへの疑問を抱き始める・・・
などと書くと、「うわ、また『ゲーム原作系お子様小説』かよ」と思うだろうが、なんとこの小説の主人公は
オオスズメバチ
なのである。主人公はひたすら殺戮を繰り返し、「肉団子」を作り続ける。そのシーンが「生き生きと」描かれているのだ。
もう、この設定だけで私のようなひねくれものは飛び上がって喜んでしまう。
しかし決して「着想の妙」だけではない。
プロット・人(蜂?)物造型・世界構成とも実に優れている上に、読み終えると「オオスズメバチ博士」になれる!!という『ダーウィンは見た!』みたいなオマケつきのサービス精神満点の作品。
著者は「専業作家」ではない。専業でないからこそ、心から楽しんで小説を紡ぐことができるのかも知れない。『永遠の0』『BOX!』も抜群に面白かったし、また3作ともジャンル・舞台設定ともまったく異質であることに、著者の「引き出し」の多さと深さに感銘する。
面白い小説は年に何十冊と出会うが、これだけの「驚き」を伴った「超面白い小説」は『鹿男』&『鴨川』以来だろう。
迷うことなく、現時点での今年度No.1小説である。