企業の広報や広告宣伝の仕事に従事して20年。フリーになって8年になる。“来た球を打つ!(頼まれた仕事は断らない/どんな悪球でもヒットする)”をモットーにこれまでやって来た。しかし、最近、年齢のせいか、ボールのノビに差し込まれたり、打者の手元で微妙に変化するボールに慌てることが多くなった。読者やユーザーの変化がそれだけ早くなっているのだ。いまは、かろうじてヒットしているが、そろそろやばい。そんなとき、本書の帯にある「顧客の変化をいち早くとらえる『動体視力』を身につけ…」の一文に興味を持ち、読んでみた。
本書の内容はとても読みやすく、分かりやすい。紹介されている「顧客理解の5つの技術」は、バッティングでいえば、「足のスタンス/グリップの位置/腰の始動と回転/インパクト/フォロースルー」にあたる。基礎的なことがじつにわかりやすく丁寧に解説されている。この本を読んで、自分がバッティングフォームを崩していたことに気付き、もう一度、修正することができた。まるで、名打撃コーチに指導を受けたような気分だ。
本書は、コトラーの著書でマーケティングを学んだ私たちの世代はもちろん、これからマーケティングを学ぶ人たちにも読んでもらいたい。また、これまで経験や勘で仕事をしてきた職人タイプのビジネスマン、経営者のみなさんにも、自分のやり方をチェックするうえでとても役にたつことだろう。本書には、いままで直感的にやって来たことが理論として整理されているはずだ。
先日の衆議院選挙で話題になった選挙区の候補者がTVのインタビューで「今回の選挙は、いままで以上に手ごたえがあった。なのに、なぜ票にならない?」と首をかしげていた。彼にもぜひ、本書を読んでもらいたいと思った。