顔面に単純性血管腫(いわゆる赤あざ)のある女性3名に対するインタビュー調査をライフストーリー分析にまとめ、これまで不分明であった問題点を可視化しようとする学術書ですが、それ以前に面接調査の方法論についてけっこう紙面を割いています。ただ、この部分は専門の研究者でなければ読まなくていいかもしれません。
三者三様の人生が語られ、あざに対する対処の仕方(隠すか隠さないか)、家族やクラスメートとの接し方などは実に様々です。そして年余にわたる調査の中での心境の移ろいも見逃せません。その中から共通点を見出していきます。
インタビューの中で、セルフヘルプ・グループへの参加が、相当の苦悩を和らげてくれたという内容の述懐があり、自分自身あるグループの例会に参加することで相当「助けられた」経験を持つ私は、「なるほど」と思わず手を打ちました。
私たちは、スティグマ者たちにいかに向き合うかをじっくり再考しなければなりません。「好意ある無関心」の実践をめざして。
欲を言えば、視覚に訴える材料が少しでもあればと思いました。写真は、たとえ目線を付しても無理でしょうけど、どの範囲にあざがあるかの大まかなイラストでもあればと。
そのあたりを補完するためには、事前に、著者が大いに影響を受けたという、石井政之さんの『顔面漂流記―アザをもつジャーナリスト』を読んだり、またセルフヘルプ・グループ「ユニーク・フェイス」の公式サイトを訪問したりするとよいでしょう。
蛇足ですが、考えてみたら私はつい十数年前まではこういった顔や体にあざのある人たちを大勢見ていました。そして治療していました。そんなことも忘れてしまうほど違った人生を歩んでいることに、今さらながら気がつきました。