親指の太さと頭の良さがビジネスの成否に与える影響は同程度というのが主旨。東大卒がビジネス界で成功できる保証はないという当たり前のことがあたかも新発見のように記されている。東大卒でエリート官僚でビジネスをやってみようという人には参考になるのかもしれないが、実際にビジネスをやっている人には非常に傲慢に感じ取られる内容が少なくない。仕事に純粋に喜びを感じる人は「もがく」ことに抵抗がないし「もがいている」と感じないのだろうが、本書では自分自身の苦労体験から「経営者はもがかなければ一人前でない」と正当化し、東大卒でもビジネスで成功しないことを正当化しているようにも読めてしまう。実家でスーパーを経営している立場からいうと大企業管理職としての視点ばかり目立つ。たとえば、ナンバーツーを育てて任せろ、と力説するが、ごく僅かの超大企業でもなければ、そんな余裕はないし、起業した人ほど情熱をもって自ら選んだ仕事で汗をかくのではないかと考える。経常赤字の銀行と書店で全くみない雑誌の編集長として「もがく」ことの前に、自ら従業員と汗をかくことをしないと、これまで応援してきた読者も離れてしまうのではないか。東大卒三流経営者の発想法が垣間見える気がするのは自分だけであろうか。