最初は「何の能もない部下を羊として見ることでうまく操縦しよう」
という、リーダーの独善的な本かと思い、読み始めたのですが、
内容は全く逆でした。
これは、上司が部下をうまく使う際のリーダー哲学を、タイトルの通り
好き勝手に草を食べたりする頑固な羊を動かす、『羊飼いの知恵』から
吸収しよう、という、珍しくも、大変わかりやすい本です。
物語は、部下を持つことになったMBAの学生テッドが、リーダー
哲学を学ぶために大学教授ニューマンの特別授業を、羊の牧場で
受けることから始まります。
しかもその内容は、本当に「羊飼い」の仕事を学ぶことでした。
なぜ『羊飼いの知恵』がリーダーシップにつながるか?
それは読んでいけばわかる事ですが、ちょっとだけ紹介します。
Q どうすれば羊たちに自分を飼い主だと認識させられるか?
A それは毎日牧場に顔を出して、自分がいるだけで羊たちが
病気なく満腹なら自然と信頼すべき飼い主だと思うようになる。
羊と人間は同じじゃないハズなんだけど、「望んでいること」は
同じだと言うことをハッと気づかせてくれます。だから、
「羊飼いの知恵」からリーダー哲学を学び取ることができるのです。
思えば組織論、リーダー哲学といったものの多くは、戦争や政治や
スポーツなどハードなシチュエーションを下敷きにしたものが多いの
ですが、この本は実に平凡(といったら失礼ですが)な「羊飼い」
という仕事から、それを紹介しています。
地味に思うかもしれませんが、だからこそ、(正しい努力さえすれば)
誰でもリーダーになれるということを感じさせてくれるという意味
でもいい本と言えるでしょう。
特に最終章の「リーダーにいちばん大切なもの」は才能とか技術の
問題でないことを我々に教えてくれるかのようです。
「究極のリーダーシップとは、ただ進むべき方向を示せるかどうかだけ
にあるのではない。その方向に群れを動かせるかどうかにあるんだ」