マザーコンピュータによる地球社会の管理、人間精神の管理は、漫画にかぎらずSFにおいてメジャーなモチーフの一つだ。これまでも手塚治虫さんや竹宮惠子さんなど多くの作家がそれを題材にして漫画を描いている。ただし、従来の作家たちは、マザーコンピュータが既に導入されてしまった世界(そのように設定されてしまった世界)を前提として物語を描いている。地下沢さんの独自性は、人類がマザーコンピュータを導入しようとする過程に焦点をあて、その推移をスリリングなドラマとして描いていこうとする点にある。
科学技術の社会への投下(応用技術の社会的認知と普及)につきまとうややこしい問題を正面から受けとめて、骨太の物語に結実しようとしている地下沢さんにはエールを贈りたい。この作品がどのような結末を迎えるのか固唾を呑んで見守っていきたい。
絵柄は地下沢さんがギャグ漫画を描くときと本質的に変わっていない。そのことが逆に物語に緊迫感を生み出しているように思う。ただし、吹き出しのセリフ内容が「予測」や「文明」に関する科学理論(あるいは哲学というべきか)の説明に割かれ過ぎていて、テンポが失われるところが惜しい。
とはいえ、全体としては続きが読みたくてたまらない作品になっている。一人でも多く地下沢フリークが増えることを期待する。