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したがってある程度の史実と地理の知識を持って読むのが有効で、インターネットで2,3時間調べてから読むのがオススメ。私も地図帳とインターネットを活用しながら読み進んだ。
百戦百勝の項羽と百戦百敗の劉邦、何かと能力の高い項羽と自分では何も出来ない劉邦。結果的に劉邦が勝ち漢帝国の高祖となるのだが、どちらが優れているという単純なものではなく、さまざまな要素の化合物が歴史を作ったのだ、などと思った。
また国家や企業のリーダーシップについても深く考えさせられる。項羽はなんとなく想像できるリーダーだが、劉邦についてはどのようなリーダーであったのか想像が難しい。現代においてもイメージできるようなモデルが存在しないせいか?その意味では経営学のケーススタディの本とも言えなくもない。少なくとも私にとっては五指に入る教訓を得た。
さらに「国士無双」「馬鹿」「背水の陣」「四面楚歌」などなど多くの故事の由来なども出てきておもしろい。
ちなみに三国時代の曹操の祖がこの劉邦の家臣であった(らしい)とは知らなかった。
入り込み易いなめらかな筆致ながらも、読者をつかんで離さない重厚な内容が、あまり興味のなかった「史記」の世界をとても新鮮に感じさせてくれた。
特に人物の描写が優れていて作家の年季を感じさせる。 と言うより、この個性の塊のような男たちが、存在し、思考し、行動する事を描いてこそ、連動する「歴史」を肌で感じさせてくれるのだ。
その点で人物描写を核としている「史記」を材にしたことで、この本の持つ価値は決まったようなものだ。
誰が善で誰が悪という事はもちろんない。読み手は、せめぎ合い咆哮するすべての群雄に愛情を感じる事だろう。
何かのキッカケで本書を読んだ人は、中国史のダイナミズムと、あの広大な大陸を制しようと策動した人々の歴史に圧倒されるのである。
打たれ強い中国人の性質が分かるというものだ。
著者は戦乱を描き切っており、「戦後」には触れていない。戦後は中国のあらゆる時代の例が示すごとく、戦乱に生きた者には非情な結末が待っている。 興味の尽きない方は、原典の「史記」も手にとってみるといいだろう。
ほぼ同時代に生きた司馬遷が、各地に取材して描いた「列伝」を、本書と比較して読んでいくのも楽しい。
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