冨田勲と藤原道山という素晴らしい才能を持った音楽家のコラボレーションが生み出した『響 KYO』ですから、悪いはずがありません。部屋の中を冨田勲が生み出したメロディが、SACDサラウンドに乗って悠久の広がりをもたらしてくれます。藤原道山という感性豊かで音感の優れた演奏家によって、冨田勲の音楽に日本の美を象徴する尺八の息遣いが入り込み、リスナーの心を揺さぶります。日本人が忘れている和の世界の魅力を感じずにはおれません。自然の中に精神がたゆとうようで、揺らぎとか漂泊というイメージが広がります。
「源氏物語」「武士の一分」「たそがれ清兵衛」「アジア古都物語」からは、時代を超えて、国境を超えて、ただ美しい懐かしい音楽が届けられました。
懐かしい「新日本紀行」が21世紀のジャジーな香りに包まれて蘇ってきました。日本的な情緒あふれるメロディは、いつ聴いても郷愁を誘います。印象的な拍子木の響きや懐かしい尺八の音は、どこかに置き忘れていった日本人の本来持っている音楽の原型なのでしょう。日本の故郷の原風景はこうだ、という映像が目の前に展開されるような思いがしました。
続く「お爺さんの里」もステキでした。自然が一杯の野や山、川や海、移りゆく四季の変化、素晴らしい日本の姿が音楽から浮かんできます。日常の生活に追われ、疲れきった現代人にとって、現実にはない理想の里山を一時感じさせてくれるようなヒーリング・ミュージックでした。感受性を高めて、心のひだに染みこむような音楽の世界を堪能してください。この音楽を届けてくれた冨田勲と藤原道山の出会いに感謝して・・・。