音楽は三島由紀夫原作の映画化ですが、三島の衝撃的自決から2年後の作品です。監督の増村さんは、1957年大映で監督デヴューし、数々の傑作を物にしましたが、1971年大映が倒産、そして、長らくあたためていた本作を自ら脚本を練り、外部で撮る第一作としてATGで撮った物で、作品に凄い気迫が感じられます。
まず、洋バサミと女性のヌードを絡ませた非常に印象的で斬新なタイトル・バックに驚かされます。赤い服を着た若い女、麗子(黒沢のり子)が精神科医、汐見(細川俊之)の元を訪れます。麗子は16代続いた名家の令嬢ですが、許婚に無理やり犯されそれが原因で家を飛び出した事、また、1年前から付き合っている江上隆一(森次浩司)がいるが、最近食欲不振で、吐き気はするし、音楽が全く聞こえない・・etc・・色んなことを訴えます。そして、2回目の予約をして帰ります。しかし、この予約直前に体調が悪く行けないと電話してきますが、江上の説得で結局診察を受けに来ます。麗子は、この前言った音楽が聞こえないというのは嘘で、実は不感症で、総ての原因はそのせいだと主張します。彼女の言っていることに矛盾を感じた江上は、自由連想法で彼女の思い浮かぶ事を色々喋らせます。汐見の診療書に恋人の江上が怒鳴り込んできたり、麗子には兄がいたり、また、彼女は不能者と死にかけの病人にしか感じない、等色んなことが明らかにされます。果たして彼女の真相とは何なのか・・・
まるで良質の推理ドラマを見ているようで、次から次へと謎が提示され、それが解明されていき、一気呵成に映画は進行します。もちろん黒沢のり子(清純派でした)と森次(ウルトラセブン)の絡みは非常にエロティックで、特に黒沢の体当たりの演技は特筆物です。また、細川、高橋長英(麗子の兄)も好演です。しかし、この映画の真の狙いは、彼女の謎の解明ではなく、禁断の○○○○に悩み苦悩する人間の魂の浄化?或いは、そこからの脱却を描いた物語として観るべきでしょう!!
鑑賞していて、久しぶりに魂を揺さぶられました。難点は価格が高い事、エロスの描写も中々ですが、万人向けではないでしょうから、仕方が無いのかな?なお封入のパンフレット、プレス・シートは必読です!!