著者は音楽好き(マニアック?)と才能が嵩じてついに音楽と脳の働きの探求に至った、現在心理学者であり、大学教授であり音楽プロデューサー(カーペンターズからスティービーワンダーまで、そうそうたる面々)、今まで音響ビジネス(海軍の仕事含め)、バンド、その他音楽関連でなくとも何でもこなしてきた、多芸多才、世の中こういう人もいるのかという見本みたいな人、好きこそ物の上手なれ。また、著者のもとでウイリアムズ症候群(染色体変異原因の発達障害)の子供達が音楽を見事に演奏する様子などUtubeで見る事が出来ます。2006年発行の著者の音楽と脳に関する著書に次ぐもので大変なベストセラーになったようですが、さもありなんという読後感です。語り口は軽妙で親しみがあり、テンポが良いですね(勿論翻訳のお陰ですが、原文のリズムはそのまま表現されてきますので)。
内容をものすごく大雑把に言えば、「はじめに」は音楽とのなれそめ、音楽は科学であること、1章は音楽とは何か、音楽の効果と学習、分析、2章は拍子と音楽のゲシュタルト原理 について、3章4章5章は音楽と認識、脳の機能、記憶・知覚・期待感と音楽の構成、6章で再度拍子、ピッチと脳神経、小脳の働き、聴覚に、7章は音楽(才能)と遺伝、学習効果と訓練(1万時間の練習が必須!)を、8章9章で何故ヒト(著者も)は音楽が心地よいか、音楽の(進化的/教育的?)ヒトの成長における意味について述べています。どの章も読者の興味を逃しません。
気軽に、肩が凝らずに勉強できる、お薦め本ですが、何だか無心に音楽を聴けなくなってしまったような気もします。また、よく知っている音楽家、バンドやミュージシャン、曲、演奏を例にしての説明も非常に分かりやすいのですが、例になっている曲やミュージシャンを知らない(レビューアーも相当知りませんので、すみません)と理解できないかもしれません。それがマニアックなこの本の結構大きい弱点。それで評価4にしました。