タイトルは「音楽を『考える』」となっているが、音楽をスタート地点にした対談集である。
西洋で音楽とはどういう位置づけの学問であるか、音を意識する教育とはどういうものか、という話から「創造は未来へつながるもの」ではなく「起源に遡るもの」なのではないかという考え方は面白かった。また「転送されたり、拝借してきた情報ではなく、自分の内なる情報が重要」という話は、一般的ではあるがインターネット世代には耳が痛いところだろう。
ただ「クラシックは楽譜を解釈する部分に音楽家の創造性が発揮されているが、ポップスは同じことの繰り返しなのでクラシックの方が高尚である」というような観点はやはりクラシック畑の人だなと思い苦笑させられた。クラシックこそ、拡大再生産なのではないだろうか?
最後に、なぜ日本がクラシックの発信中心にならないかという話題で、海外コンプレックスや国内音楽界の閉鎖性を挙げているが、先の「クラシック=高尚な音楽」というような根性がそのように土壌を生んでいるのではないか、自家撞着なのではないかと思えた。
なお、茂木健一郎ってもっと前に出てきて主張するようなタイプかと思っていたが、結構うまい聞き役であったことが発見だった。