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音楽から解き放たれるために ──21世紀のサウンド・リサイクル
 
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音楽から解き放たれるために ──21世紀のサウンド・リサイクル [単行本]

原 雅明
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

ジャズじゃないジャズ、解体したヒップホップ、逸脱したエレクトロニック・ミュージック。音楽の最深部をさまざまな側面から提示してきた著者の、時代と社会の変容を鋭く捉えた、初の単著となる音楽論集!

閉塞した状況の中、
それでも、音楽を聴き続けるために。

「音楽産業というモデルはもう終了したんだ。終わりだよ。新しいモデルを模索しなくてはいけないんだ。もし続けたいのなら、再び築かなくてはいけない」
──ショーン・ブース(オウテカ)

00年代も終わりに近づく現在、音楽をめぐる状況は怒濤の転換期に直面しています。物流や価値観の明らかな変容によって引き起こされた、CDの売れ行きの減少傾向、デジタル配信の一般化、流通業者とレコード店の危機……。
本書は、こうした、従来の音楽モデルの破綻と解体という、2000年代に音楽が直面した見過ごすわけにはいかない変化のただ中で、音楽史のエポックメイキングであった90年代半ばを起点とし、この約15年間の間に一体何が起きたのか、どのような変遷を音楽シーンは辿ったのかを、真摯に追究する音楽と社会の関係性を探るリアルな音楽論です。
またその一方で著者は、音楽をサウンドとして聴取し、その大きなアーカイヴを共有し循環させることで生まれる、音楽の新しい聴き方・感じ方の胚胎を鋭く捉え、その先に広がる可能性を見据えることの重要さを説きます。

■本書のための書き下ろし論考「word and sound」所収!
■様々な雑誌媒体で発表してきた原稿、及びライナーノーツ等の、新旧幅広い既出原稿を網羅。
さらに、当時のシーン概略とディスクガイドを足し、「1冊で90年代から現在までのヒップホップ、ジャズ、エレクトロニック・ミュージックをめぐる状況がわかる」入門書的役割も!
カバー写真は、数多くのアルバムジャケットを手掛け、LAヒップホップ・シーンになくてはならない写真家、B+の作品!

内容(「BOOK」データベースより)

ヒップホップ、ジャズ、エレクトロニック・ミュージック…音楽モデルの破綻と解体の向こうに広がる新しい音の感じ方/聴き方。書き下ろし論考「word and sound」所収。

登録情報

  • 単行本: 336ページ
  • 出版社: フィルムアート社 (2009/11/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4845909391
  • ISBN-13: 978-4845909391
  • 発売日: 2009/11/24
  • 商品の寸法: 19 x 11.8 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Madcap
形式:単行本
著者の原雅明氏の活動は,レーベル運営,レコードショップ経営,音楽に関する各種執筆,音楽雑誌発行など多岐に渡り,
電子音楽の分野だと知らない人はほぼいない人物。

その原雅明氏が,これまで現場で経験し感じたこと,アーティストや音楽業界で働く人々からくみ取った現場の気持ちを
「音楽のリサイクル」という切り口で文章に落とし込んだのが本書。

パッケージビジネスを中心とした音楽業界の閉塞感を克服するために,
音楽をパッケージで"ストック"するのではなく"シェア"し"リサイクル"することが大切というのが本書の問題意識。
往年のジャズプレイヤーと現代のビートミュージシャンとが普通にコラボし,
過去の音源を現代に蘇らせて人と音をリサイクルさせているLAのシーンを紹介しつつ,”音楽のリサイクル”の重要性を示している。

その問題意識は,
原雅明氏とCreative Commons Japanが日本で仕掛けたdublab企画LA発のプロジェクトの”INTO INFINITY”や
dublab製作で原雅明氏のレーベルから発売されるドキュメンタリー・フィルム"Secondhand Sureshots"と共通し,
原雅明氏は本書に込めた問題意識をアートプロジェクトとしても実践している。

本書は,音楽業界の閉塞感の原因を掘り下げつつも,音楽に対する愛情に支えられたポジティブなメッセージが込められている。
”音楽のリサイクル”はこれからの音楽業界再生のキーワードになるといっても過言ではない。
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
良い本です。 2010/5/14
形式:単行本
僕は音楽畑の人間ではないのでここに出てくる具体的な固有名詞の99%はわからない。それでも「音楽」がこれからどこに行こうとしているのかわかる……わかるといっても頭でわかるというよりある種の感覚として伝わってくる。音楽のように、サウンドのように。こういう本が読めてとても幸せです(少し大げさかも)。

彼の言う「サウンド」は、ほぼ「コモンズ」の概念に当てはまり、「音楽」は「音楽産業」と読み替えられます。本のタイトルを僕なりに言い換えるなら「音楽産業に囲い込まれていた音楽がテクノロジーによってそのくびきから解放され、原初のサウンド(コモンズ)に戻って行こうとしているけど、音楽にとっても、そしてそれに触れる我々にとっても歓迎すべき話だよね(音楽産業なんかなくても大丈夫だよ、ぜんぜん!)」という論です。

そうそうそれから、この本は編集デザイン(情報デザイン)の見本としても素晴らしいです。書き下ろしを含め全体の概要をつかみたければ大きめの文字で一段組で組まれた部分を読めばいいし、個別のアーティストに関する文章は二段組みの部分、個別のアルバムや作品は薄い地色の敷かれた三段組みのページを読めばいい。レコードジャケット以外はすべてテキストですが「ヴィジュアルな本」だとも言えます。

音楽はデジタルテクノロジーの洗礼を最初に受けたジャンルであり、そしてそれは今も変わらず現代文化の先頭を走る、いわば先行指標です。音楽に限らず、文化とテクノロジーの関係に興味のある人にお勧めします。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
音楽とは、循環するものだ。音楽が作られ、そして音楽が聴かれる。あるいは、音楽が聴かれ、そして音楽が作られる。このような「作る−聴く」「聴く−作る」という循環に寄り添っていこうとする意思を、「リサイクル」という言葉とともに原雅明は表明する。

そして彼は、循環が機能しない状態としてのデータベース化をリサイクル化と対置する。この本の重要性は、循環が停滞して蓄積のみが進むデータベース化に対する抵抗として、循環と再生を推し進めるリサイクル化という希望が表明されている点にある。

原は、自身が編集に関わった媒体のために、あるいは様々な媒体の編集者からの要請に応えて、音楽に関わる原稿を書いてきた。この本に収められた文章は、90年代後半から00年代の終わりまでの間に、そのような「聴く−書く」という循環の中で書かれてきたものだ。それらはどれも、音楽から自立した文章ではなく、音楽に寄り添って書かれた文章だ。そして、修辞と戯れることのない率直さの表れた、尊大さのない文章だ。彼は、「聴く−作る」という音楽の循環に寄り添いながら、「聴く−書く」という言葉の循環を生きてきた。

しかし、00年代の後半以降、雑誌の休刊など媒体の減少・衰弱化、音楽のデータファイル化といった環境の変化により、音楽をめぐる循環はかつてのようには進行しなくなってしまった。だからこそ、循環の停滞を打ち破るリサイクルに対する希望を原は述べる。

音楽を活性化させる力を言葉が持っていることに対する期待が述べられたこの本の著者の言葉は、いま、作られ続ける音楽にとっても、音楽を聴き続ける人間にとっても、もの凄く貴重なものだ。
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