著者の原雅明氏の活動は,レーベル運営,レコードショップ経営,音楽に関する各種執筆,音楽雑誌発行など多岐に渡り,
電子音楽の分野だと知らない人はほぼいない人物。
その原雅明氏が,これまで現場で経験し感じたこと,アーティストや音楽業界で働く人々からくみ取った現場の気持ちを
「音楽のリサイクル」という切り口で文章に落とし込んだのが本書。
パッケージビジネスを中心とした音楽業界の閉塞感を克服するために,
音楽をパッケージで"ストック"するのではなく"シェア"し"リサイクル"することが大切というのが本書の問題意識。
往年のジャズプレイヤーと現代のビートミュージシャンとが普通にコラボし,
過去の音源を現代に蘇らせて人と音をリサイクルさせているLAのシーンを紹介しつつ,”音楽のリサイクル”の重要性を示している。
その問題意識は,
原雅明氏とCreative Commons Japanが日本で仕掛けたdublab企画LA発のプロジェクトの”INTO INFINITY”や
dublab製作で原雅明氏のレーベルから発売されるドキュメンタリー・フィルム"Secondhand Sureshots"と共通し,
原雅明氏は本書に込めた問題意識をアートプロジェクトとしても実践している。
本書は,音楽業界の閉塞感の原因を掘り下げつつも,音楽に対する愛情に支えられたポジティブなメッセージが込められている。
”音楽のリサイクル”はこれからの音楽業界再生のキーワードになるといっても過言ではない。