音声学会の初心者向けセミナーで推薦されていた本。
とにかく初心者向け、かつ外国人でもわかるように書かれているので、
日本語音声学の入門書として適しているだけでなく、
専門家であっても、日本語音声の知識を整理したり、
音声学の知識を現場の音声教育に結びつけたりするのに役立つ。
特にCDロムに収録されている、日本語調音のMRI動画資料は、
それだけでもこの本の定価分以上の価値がある、非常に貴重な資料。
敢えて難点を挙げるとすると、この本は基本的スタンスとして
日本語音声を"教える"際の実践に強くこだわっているため、
例えば「日本語音声学概論」のような講義でテキストに使う場合には、
外国人学習者の問題点や、音声の具体的な練習方法のような応用の部分が、
概論としては情報過多となる可能性があるかもしれない。
もちろん、現場で日本語音声を教える教師にとっては
こうした部分こそが重要なのであろうが。
いずれにせよ、本書は日本語音声学の定番書として、
今後も広く読まれていく本になると思われる。