Personnel:
若井優也 (pf) track 01〜03,05,07〜11
菊池太光 (pf) track 04,06
若井俊也 (bs) track 02,04,06,07,09,10
香月宏文 (dr) track 02,04,06,07,09,10
かどやん (dr) track 09
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若手ジャズピアニストのホープで、かつ、東大卒という脅威の経歴を持つ若井優也のプロデュースによるCD。
若井はまだ二十代前半という若さでありながら、細部まで磨きぬかれたテクニックと幅広い音楽性で、
原大力、鈴木央紹、川嶋哲郎など、ベテランのミュージシャンからの信頼も厚い。
そんな彼がジブリという素材をどう料理するのか、
期待と共にCDの再生ボタンを押したが、やはり彼は裏切らなかった。
1曲目のカントリー・ロードの、美しいピアノソロだけで、このCDを買った価値があったと思えた。
若井優也は生粋のジャズピアニストであるが、その前に一人の優れた音楽家である。
このカントリー・ロードは、ただハーモニーを複雑にして、
メロディやリズムを何となくジャズ「っぽく」するということはない。
むしろ、原曲に非常に忠実に、丁寧に丁寧にメロディを歌いあげ、一切無駄の無い和音をそこに重ねていくという、
キース・ジャレットのような手法をとっている。
一歩間違えばただのイージーリスニングだが、一つ一つの音へ深遠なる執着と、
絶妙な譜割りと転調による心地の良いスリリングさが相まって、一個の音楽として成立している。
他に「海の見える街」は5拍子、「もののけ姫」は7拍子という変則的な拍子で演奏されているが、
こちらも決してそういう変拍子を"売り"にしてしまってはいない。
それはブラッド・メルドーのように、あくまで表現の延長上にただ変拍子があった、という程の自然さである。
おそらく、意識して聴かなければ、気づかない人も多々いるのではないだろうか。
だが、そうして組み込まれた「気づかない程自然な変拍子」も、
気づかないだけで確実にスパイスとして音楽の中に活かされており、
演奏が素晴らしいものになるのに一役買っている。
本当に一つのジャズアルバムとして見るとするならば、不満がないわけではないので
総合評価から星をひとつ引かせてもらったが、既存のジブリジャズアレンジアルバムの中では
最高の、それも二位以下に大差を付けての素晴らしい出来になっている。
絶対の自信を持って言える、他のCDと並べて迷っているのなら、これを買うべきだ。
ジブリの楽曲が好きな人はもちろん、表面的なジャズアレンジではないので
ジャズが本当に好きな人にもお薦めできるし、逆に、ジャズを敬遠している人にもお薦めできる、
バランス感覚溢れる非常に希少なCDである。