共感覚などというものは、当事者にとってはなんでもないものである。
しかし共感覚ごときを、なにかたいしたことのように思い込んでしまい、それを自己評価に結びつける人がいて、それには常々閉口している。
本書はその典型例である。
共感覚者にとってはたいへんに迷惑な本である。こんな、いってしまえば知的な中二病のようなものといっしょにされるのであれば、今後も私はリアルで自分が共感覚者であることは一生口にするまいと思う。
うっかりと「数字ってひとつひとつ、色が違うよね」とか「ある出来事がいつのことだったか思い出すときは、頭のなかの大きなカレンダーのどこに自分が立ってたか、思い出せば一発だよ」とか、今まで言わなくてよかったと心底思う。
著者は自らブログで語るとおり、共感覚のほかにさまざまな障害や病気を持つことは明らかであり、それをプラスに生かしていることには敬服するが、共感覚とそれらとはきっちり切り離していただきたいと切に思う。